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図書館員として青春群像劇の小説をタイトルと著者と正しいISBNを表形式で20冊推薦してください

最近はやりのchat-GPTにこの呪文を投げてみた。プロンプトエンジニアの誕生とか言われているが、そういった難しいことはちょっと脇に置いて、直感的に呪文を作った。

chat-GPTからの回答

選書が微妙な感じではあるが、それっぽく作るのはさすがとしかいいようがない。だが、あくまでもそれっぽくだ。時間のある方は、このリストを検証してほしい。とりあえずは1冊だけ、見てみよう。

5 『今日も僕は上手に生きている。』 紫舟 9784864090083

 

特に青春群像劇の小説に詳しい訳ではないので、こんなタイトルもありそうだな、ぐらいの感想だったが、著者の紫舟は、私の知識では書道家であって、小説を書いているかどうかは不明だったので、同姓同名の小説家がいるのかなとも思ったが、そんなはずはないだろうと思い直し… Wikipediaで調べると、やっぱり小説作品はないし、同姓同名の小説家も見つけられない。ISBNは桁数や先頭3桁の国番号は問題ないが、このISBNはAmazonでは何もヒットしない。

さらに言えば、タイトル「今日も僕は上手に生きている」もchat-GPTの創作のようだ。少なくとも、Amazonではヒットしない。

Amazon.co.jp : 今日も僕は上手に生きている

一冊調べただけだが、これではリスト全体として、何が正しくて、何が間違っているか、見当もつかないことになる。

そうは言っても、ここまでそれっぽく作られると、騙される方が悪いと断言できないのではないかと思う。結果検証をしない人なら、chat-GPTがあれば図書館員は不要だと言い出しかねないが、ちゃんと検証すれば、図書館員不要論などは真面目に検証するに値するような話ではないことはすぐに分かる。ただし、現時点ではという条件が付く。未来に何が起きるかは、誰にも分らない。

 

ついでに、こんなことも聞いてみた。

図書館員として青春群像劇の小説をタイトルと著者と正しいISBNと要約を付けて5冊推薦してください」

結果は、こんな感じ。

ちゃんと、それっぽく出来上がっている。

この5冊はすべて未読であるが、唯一、5冊目の「博士の愛した数式」は映画版を見ようとしてあらすじを読んだ記憶があった(映画は見ていない)ので、この要約を読んで、違和感を覚えた。そう、おそらくこの要約もchat-GPTの創作だ。

 

誤解を恐れずに言えば、ジェネラティブAIは、Web上のさまざまなコンテンツを大量に収集し、それをインプットとして学習して回答を作成する仕組みだ。なので、間違った回答となるのは、学習方法が悪いか、インプットが悪いかのどちらか、もしくは両方と言える。

openAIはchat-GPT3.5から4へと改善版を出してきているし、これからもかなりのスピードで学習方法は改善されていくことは間違いないが、それが事実情報(例えばタイトルとISBNの一致といった事実関係を正確に出力できるか)の取り扱いの改善にどれだけつながるかは未知数だ。しかし、これはジェネラティブAIが本当に役に立つ一般的なツールになるために越えなければならない一つの大きな壁だろう。

学習用のインプットデータとなる情報については、何をしなければいけないのかは現時点では分からない。現在のジェネラティブAIが学習に利用したデータは、そもそもそういった使われ方を想定して作成されているわけではないわけで、当然、機械学習に不向きなデータも多いだろう。今後は、ジェネラティブAIをより実践的なツールとするために、機械学習に使われること前提とした情報発信の仕組みが作り出されるかもしれない。そうなれば、ジェネラティブAIの能力は、さらに向上していくだろうし、図書館はさらなる情報発信によって、自らの存在意義を示すことができるはずである。

図書館は本に関する情報の宝庫だ。ナラベルWebサービスを開発した理由も、図書館や本に関わる人たちが持つ埋もれた有益な情報をWeb上に簡単に公開するためのプラットフォームを作ることだったのだが、これからは一層、情報発信の重要性が増してくる。図書館がジェネラティブAIと全く関係性を築かないという選択肢もあるが、それは図書館自身の存在を社会的に低下させるリスクを内包している。

 

結局、ジェネラティブAIと本に関わる人々は共存共栄関係を作り上げていくことになるのではないだろうか。巷では、ジェネラティブAIの拡大によってなくなる仕事の話が面白おかしく取り上げられているが、そんな簡単なことではない。

ちなみに、同じ質問をBingAIで聞いた結果は、こんな感じ

微妙…

参考情報サイトが示されているので、情報の信頼度を検証することも可能だろうが、これがどこまで有効なのか、まだまだ分からない。ちなみに、やはりいろいろ正しくないことばかり。

 

図書館の代打役としてchat-GPTを少し使ってみたが、図書館サービスとしての活用のツボが見つけられていない。しかし、PG用のスニペット作成ツールとしてはかなり便利だ。うまく使えば、開発コストを下げられる。

技術革新への対応は、抗うよりも、上手に関係性を築いていくことが大切なのだろう。ゼロサムゲームで済むことは、リアルな世界ではほとんどない。いずれにしろ、何かに最適化しながら生き続けていくことになると思うが、本と図書館が何に対してどのように最適化していくのか、そしてナラベルWebサービスがどのように役立っていけるのか、開発・運用者としてはワクワクすることも多い、というのが正直な気持ちである。